※ふたなり描写があります。
※耐性のない方はご注意ください。
目が覚めたら、視界の下の方に双丘が聳え立っていた。
な、何を言っているかわからねーと思うが、俺も何を言っているのか…………というお約束なネタはさておき、その時、俺は本気で呆然とした。
寝るときは普通に仰向けの姿勢で寝る俺だが、今日はなんだか寝苦しくて目が覚めた。胸の上に何かが乗っているような、そんな重みを感じていたからだ。
飼い猫のタマがたまにあるように布団に潜り込んできたのかと思ったけど、その予想はまるで外れで、そこには脂肪の塊が乗っていたというわけだ。
最初、俺はそれがなんなのかわからなかった。パジャマを下から持ち上げているそれは、視界の邪魔になるくらいに大きくて、なにか詰め物でもしない限りはそんな状態にはならないはずだった。
半分ねぼけたまま、それに手を触れてみて、俺はそれが自分の体の一部であることに仰天した。
「ええっ!?」
思わず跳ね起きると、それがその動きに合わせてぶるんと揺れ、至るところに痛みを感じるほどだった。それがなんなのか、わからないわけではなかったけど、それがどうして自分についているのかわからなかった。
「ど、どうなってるんだ!?」
俺はそれを両手でつかむようにして持ち上げる。それは奇妙に柔らかく、さわり心地は抜群だった。これまで生きてきた中でこんな大きさのこれに触ることなんてなかったけど、『それ』が極上のさわり心地を持っているのだということくらいはわかる。
俺の胸に突然生えた『それ』……いわゆる、おっぱいという奴が。
片手で掴んでもなお余るような大きさといえば、その大きさがどれほどのものかよくわかるだろう。しかし、そこで俺はさらに自分の体の異変に気付いた。自分の手がいつもよりかなり小さかったのだ。それに、うつむいた拍子に耳の後ろから、ぱらり、と黒いものが視界に入ってきた。
「……おいおいおい……まさか……」
鏡を見たい。そう思ってベッドから降りようとした俺は、目の前に姿見があることに気が付いた。もちろん元々の俺の部屋に姿見なんてしゃれた物があったわけはない。それも不思議に思ったのだけど、それ以前にその鏡にうつった光景に度肝を抜かれた。
「……俺……なのか……?」
そこに移っていたのは、平均以下の容姿ながら、別に嫌いなわけでもなかった見慣れた自分の容姿ではなく、人形のように顔立ちの整った、スタイル抜群の女の子だった。
その女の子が、俺の意思で体を動かして、信じられないという様子で俺を見返している。
「俺、女になっちまった……!?」
そんな馬鹿な、と思いつつ、俺は自分の股間に触れてみた。そして、違う意味で二度驚愕することになった。
美少女の姿になった俺の股間には……いつもの俺についているものがあったからだ。